公開日: 2025.12.26
更新日:

年明けに揉める会社の共通点──年末年始の有給処理

社労士 鈴木 貴雄

社労士 鈴木 貴雄

東京都社会保険労務士会

この記事の執筆者:社労士 鈴木 貴雄

区役所と民間、官民双方の豊富な現場経験を強みに、複雑な法改正、助成金活用、労務トラブルまでスピーディーに解決します。机上の空論ではない、実績豊富な社労士として貴社の状況に即した実践的なサポートで事業の成長を力強く後押しするパートナーです。

年末年始を「有給扱い」にしていませんか?

── 実はトラブルの温床です。回避のカギは就業規則の整備

年末年始が近づくと、こんなご相談が増えてきます。

「うちは年末年始は有給扱いにしています」
「毎年そうしてきたので問題ないと思っていて…」

しかし実務上、年末年始を“なんとなく有給扱い”にしている会社ほど、年明けにトラブルが起きやすいのが現実です。

今回は

  • なぜ年末年始の「有給扱い」が問題になりやすいのか
  • どうすればトラブルを回避できるのか

を、実務目線で解説します。


年末年始は「法律上の休暇」ではありません

まず大前提として、年末年始休暇は法律で義務づけられた休暇ではありません。

つまり、

  • 休みにするかどうか
  • 有給にするか無給にするか
  • 年次有給休暇として扱うか

これらは会社がルールを決める必要があるということです。

問題は、そのルールが――
就業規則に明確に書かれていない会社が非常に多い点にあります。


「有給扱い」が引き起こす代表的なトラブル

① 勝手に有給を消化されたと言われる

年次有給休暇は、原則として労働者が請求して取得するものです。

ところが、

  • 会社が一方的に
    「年末年始は有給です」
  • 労使協定もなく
    一律で有給残日数を減らす

こうした運用は、
**「強制的に有給を使わせた」**と受け取られ、クレームにつながります。


② 有給が残っていない人との不公平問題

同じ年末年始の休みなのに、

  • 有給が残っている人 → 給料あり
  • 有給がない人 → 欠勤扱い・無給

となると、

「同じ休みなのに扱いが違うのはおかしい」

という不満が出やすくなります。
違法でなくても、職場の不信感やモチベーション低下につながる典型例です。


③ パート・アルバイトで扱いが破綻する

シフト制のパート・アルバイトの場合、

  • そもそもその日が所定労働日でない
  • 有給を充てられない日なのに処理している

といった実務ミスが起こりやすくなります。

結果として、

  • 賃金計算ミス
  • 後からの是正
  • 「説明が違う」というトラブル

に発展しがちです。


トラブルを回避する唯一の方法

―― 就業規則で「年末年始の扱い」を明確にする

これらのトラブルを防ぐために不可欠なのが、
就業規則での明確なルール化です。

特に、以下の点を整理する必要があります。


① 年末年始は「何の休暇」なのか

  • 特別休暇(有給 or 無給)
  • 年次有給休暇(計画的付与を含む)
  • 会社休業日(無給)

どれなのかを明文化します。


② 年次有給休暇として扱う場合の条件

有給として扱うなら、

  • 計画的付与を使うのか
  • 労使協定は締結しているか
  • 対象者・対象日数はどうするか

ここが曖昧なままでは、毎年同じ問題が起きます。


③ 雇用形態ごとの扱い

  • 正社員
  • パート・アルバイト
  • シフト制社員

それぞれの扱いを想定した規定が必要です。
「正社員前提」で作られた就業規則は、年末年始に破綻しやすいのが実情です。


実務上、最もトラブルが少ない選択肢

結論として、年末年始については

  • 特別休暇(有給)として明確に定める
  • もしくは
    計画的付与を正式に導入する

このどちらかに整理している会社ほど、トラブルが起きていません。

「今まで問題なかった」ではなく、
問題が表面化していないだけというケースが大半です。


まとめ(重要ポイント)

  • 年末年始を「有給扱い」にするだけでは不十分
  • なんとなくの運用は、トラブルの原因になる
  • トラブル回避のカギは
    就業規則での明確な整理
  • 年末年始は、就業規則を見直す絶好のタイミング

年末年始の扱いは、会社の労務管理レベルが最も表れやすい部分です。
もし、

年末年始の休暇の扱いや就業規則の整備については、
制度の理解だけでなく、実際の運用に即した判断が重要になります。

現在の年末年始の運用に不安がある場合や、
「この扱いで問題ないのか判断がつかない」といった点がございましたら、
どうぞお気軽にお問い合わせください。