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年明けに揉める会社の共通点──年末年始の有給処理
社労士 鈴木 貴雄
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 鈴木 貴雄
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年末年始を「有給扱い」にしていませんか?
── 実はトラブルの温床です。回避のカギは就業規則の整備
年末年始が近づくと、こんなご相談が増えてきます。
「うちは年末年始は有給扱いにしています」
「毎年そうしてきたので問題ないと思っていて…」
しかし実務上、年末年始を“なんとなく有給扱い”にしている会社ほど、年明けにトラブルが起きやすいのが現実です。
今回は
- なぜ年末年始の「有給扱い」が問題になりやすいのか
- どうすればトラブルを回避できるのか
を、実務目線で解説します。
目次
年末年始は「法律上の休暇」ではありません
まず大前提として、年末年始休暇は法律で義務づけられた休暇ではありません。
つまり、
- 休みにするかどうか
- 有給にするか無給にするか
- 年次有給休暇として扱うか
これらは会社がルールを決める必要があるということです。
問題は、そのルールが――
就業規則に明確に書かれていない会社が非常に多い点にあります。
「有給扱い」が引き起こす代表的なトラブル
① 勝手に有給を消化されたと言われる
年次有給休暇は、原則として労働者が請求して取得するものです。
ところが、
- 会社が一方的に
「年末年始は有給です」 - 労使協定もなく
一律で有給残日数を減らす
こうした運用は、
**「強制的に有給を使わせた」**と受け取られ、クレームにつながります。
② 有給が残っていない人との不公平問題
同じ年末年始の休みなのに、
- 有給が残っている人 → 給料あり
- 有給がない人 → 欠勤扱い・無給
となると、
「同じ休みなのに扱いが違うのはおかしい」
という不満が出やすくなります。
違法でなくても、職場の不信感やモチベーション低下につながる典型例です。
③ パート・アルバイトで扱いが破綻する
シフト制のパート・アルバイトの場合、
- そもそもその日が所定労働日でない
- 有給を充てられない日なのに処理している
といった実務ミスが起こりやすくなります。
結果として、
- 賃金計算ミス
- 後からの是正
- 「説明が違う」というトラブル
に発展しがちです。
トラブルを回避する唯一の方法
―― 就業規則で「年末年始の扱い」を明確にする
これらのトラブルを防ぐために不可欠なのが、
就業規則での明確なルール化です。
特に、以下の点を整理する必要があります。
① 年末年始は「何の休暇」なのか
- 特別休暇(有給 or 無給)
- 年次有給休暇(計画的付与を含む)
- 会社休業日(無給)
どれなのかを明文化します。
② 年次有給休暇として扱う場合の条件
有給として扱うなら、
- 計画的付与を使うのか
- 労使協定は締結しているか
- 対象者・対象日数はどうするか
ここが曖昧なままでは、毎年同じ問題が起きます。
③ 雇用形態ごとの扱い
- 正社員
- パート・アルバイト
- シフト制社員
それぞれの扱いを想定した規定が必要です。
「正社員前提」で作られた就業規則は、年末年始に破綻しやすいのが実情です。
実務上、最もトラブルが少ない選択肢
結論として、年末年始については
- 特別休暇(有給)として明確に定める
- もしくは
計画的付与を正式に導入する
このどちらかに整理している会社ほど、トラブルが起きていません。
「今まで問題なかった」ではなく、
問題が表面化していないだけというケースが大半です。
まとめ(重要ポイント)
- 年末年始を「有給扱い」にするだけでは不十分
- なんとなくの運用は、トラブルの原因になる
- トラブル回避のカギは
就業規則での明確な整理 - 年末年始は、就業規則を見直す絶好のタイミング
年末年始の扱いは、会社の労務管理レベルが最も表れやすい部分です。
もし、
年末年始の休暇の扱いや就業規則の整備については、
制度の理解だけでなく、実際の運用に即した判断が重要になります。
現在の年末年始の運用に不安がある場合や、
「この扱いで問題ないのか判断がつかない」といった点がございましたら、
どうぞお気軽にお問い合わせください。


