社宅を提供している事業主様へ
社労士 鈴木 貴雄
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 鈴木 貴雄
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目次
― 現物給与の算定方法が令和8年10月から変わります ―
従業員に社宅や寮などの住宅を提供している事業主様に、ぜひ知っておいていただきたい制度改正があります。
住宅の提供は「現物給与」に該当します
従業員に住宅を提供している場合、その利益は原則として**「現物給与」**に該当します。
従業員から使用料を徴収していない場合や、著しく低額な使用料しか徴収していない場合には、一定の算定方法により計算した額を、社会保険料や所得税の計算上の報酬として計上しなければなりません。
現行の算定方法(令和7年度まで)
現行制度では、住宅の現物給与額は以下の方法で算定されています。
- 都道府県ごとに定められた「1畳あたりの単価」を使用
- 居住用の部屋の畳数 × 単価 により算定
ここでいう「居住用の部屋」とは、実際に居室として使用している部分を指し、
浴室・トイレ・キッチン・廊下などの面積は算定対象に含まれません。
参考:日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150511.files/2025.pdf
令和8年10月からの改正内容(予定)
令和8年度から、住宅に関する現物給与の算定方法が見直される予定です。
改正後は、以下の方法に変更されます。
- 専有部分の総面積 × 単価 により算定
つまり、居室部分だけでなく、
浴室・トイレ・キッチン・廊下などを含めた「専有部全体の面積」で計算することになります。
この改正は、事務処理の簡素化・効率化を目的としたものとされていますが、
実際に試算してみると、現行制度より現物給与額が増加するケースが多いことが想定されます。
参考:e-Gov パブリックコメント
(「概要」および「別紙」をご参照ください)
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495250354&Mode=0
施行時期と実務上の注意点
現物給与の価額表は通常毎年4月に改定されますが、
今回の住宅に関する改正は、令和8年10月施行予定とされています。
そのため、10月に一斉に再計算が必要になる可能性があります。
今のうちから、対象となる従業員や社宅の状況を確認しておくことが重要です。
使用料を徴収している場合の取扱い
- 算定された現物給与額と同額以上の使用料を本人から徴収している場合
→ 現物給与としての計上は不要 - 低額な使用料を徴収している場合
→ **「現物給与額 − 本人負担額」**を報酬として計上する必要あり
現在は計上不要となっているケースでも、
改正後は計上が必要になる可能性がある点には注意が必要です。
月額変更(随時改定)への影響
現物給与として計上する額が変わる場合、
社会保険の月額変更(随時改定)の要件に該当する可能性があります。
住宅提供の有無や使用料の設定は、
社会保険・税務の両面で影響が大きいため、早めの確認と対応をおすすめします。
重要ポイントまとめ
- 社宅の提供は原則「現物給与」に該当
- 令和8年10月から算定方法が「畳数」→「専有面積」に変更予定
- 現物給与額が増えるケースが多く想定される
- 再計算・月額変更の可能性に注意が必要
事前の確認や試算をご希望の場合は、当事務所までお気軽にご相談くださいませ!


