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【2026年冬】賞与の社会保険料の計算と賞与支払届の手順|社労士が解説

社労士 鈴木 貴雄

社労士 鈴木 貴雄

東京都社会保険労務士会

この記事の執筆者:社労士 鈴木 貴雄

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この記事のポイント

  • 賞与(年3回以下の支給)にも、健康保険・厚生年金保険の保険料がかかります。事業主は支給日から5日以内に「賞与支払届」を提出します
  • 2026年4月から、健康保険料に子ども・子育て支援金(全国一律0.23%)が加わっています。今年の冬の賞与から、この分も含めた控除額の確認が必要です
  • 標準賞与額には上限があります(健康保険は年度累計573万円、厚生年金保険は1か月150万円)
  • 賞与の支給前に「料率の確認」「届出の準備」「育休中の社員の確認」を済ませておくと、控除ミスや届出漏れを防げます

冬の賞与の時期が近づいてきました。賞与を支給する会社にとって、毎回悩ましいのが社会保険料の計算と届出です。

賞与にも、毎月の給与と同じように健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料がかかります。さらに今年は、2026年4月から健康保険料に「子ども・子育て支援金」が加わったため、昨年の冬の賞与とは控除の内訳が変わっています。

また、賞与を支給したときは、支給日から5日以内に日本年金機構へ「賞与支払届」を提出しなければなりません。期限が短いため、支給後に慌てないよう、事前の準備が大切です。

本記事では、賞与にかかる社会保険料の計算方法、賞与支払届の手順、よくあるつまずきやすい点を、実務の順番に沿って解説いたします。

※本記事は2026年10月20日時点の情報に基づいています。保険料率は協会けんぽ(東京都)の例です。健康保険組合に加入している会社は、組合ごとに料率が異なります。

賞与にかかる保険料の全体像

賞与から控除する保険料と、その基準になる金額は次のとおりです。

保険の種類計算の基準負担
健康保険(介護保険・子ども・子育て支援金を含む)標準賞与額 × 保険料率事業主と本人で折半
厚生年金保険標準賞与額 × 18.3%事業主と本人で折半
雇用保険賞与の支給額 × 雇用保険料率事業主と本人がそれぞれ負担(率が異なる)

標準賞与額とは、実際に支払う賞与の額(税引き前の総支給額)から、1,000円未満を切り捨てた金額のことです。健康保険・厚生年金保険の保険料は、この標準賞与額に保険料率を掛けて計算します。

毎月の給与のように「標準報酬月額」という等級表で決まるのではなく、賞与の都度、支給額から直接計算する点が大きな違いです。

「賞与」として扱われる条件と、標準賞与額の上限

社会保険でいう賞与とは、名称にかかわらず、労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のものをいいます。たとえば、給与規程で7月と12月に支給すると定めている手当は、賞与として扱われます。

反対に、年4回以上支給されるものは「賞与」ではなく毎月の報酬と同じ扱い(標準報酬月額の対象)になります。結婚祝金など、労働の対償とみなされないものは対象外です。

標準賞与額の上限

  • 健康保険(介護保険・子ども・子育て支援金を含む):年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計で573万円
  • 厚生年金保険:1か月あたり150万円(同じ月に2回以上支給したときは合算して上限を適用)

役員や高額の賞与を支給する場合は、この上限を超えた部分には保険料がかかりません。夏の賞与と合わせた年度累計が573万円に近い方がいるときは、冬の賞与の計算前に累計額を確認しておきましょう。

なお、年4回以上の支給であっても、毎年7月2日以降に賞与の規定を新設した場合は、次の定時決定(標準報酬月額の見直し)が行われるまでは賞与として扱われると、日本年金機構が明確化しています。規定を新設・変更するときは、事前に届出区分を確認することをおすすめいたします。

2026年度の保険料率(東京都・協会けんぽの例)

2026年度の料率は次のとおりです。

項目料率(全体)本人負担備考
健康保険(東京都)9.85%4.925%前年度の9.91%から引き下げ
子ども・子育て支援金0.23%0.115%全国一律。2026年4月分から
介護保険(40歳〜64歳)1.62%0.81%全国一律
厚生年金保険18.3%9.15%固定
雇用保険(一般の事業)13.5/1,0005/1,000事業主負担は8.5/1,000

子ども・子育て支援金は、賞与についても標準賞与額に支援金率を掛けて計算します。給与とは別に、賞与の控除項目にも反映されているかどうかを、給与計算ソフトの設定で確認してください。

計算例:賞与30万円の場合

東京都の協会けんぽに加入している、40歳未満の社員に賞与を30万円支給する場合の例です(一般の事業)。

項目計算本人負担事業主負担
健康保険300,000円 × 9.85% ÷ 214,775円14,775円
子ども・子育て支援金300,000円 × 0.23% ÷ 2345円345円
厚生年金保険300,000円 × 18.3% ÷ 227,450円27,450円
雇用保険300,000円 × 5/1,000(事業主は8.5/1,000)1,500円2,550円
合計44,070円45,120円

この例では、賞与30万円のうち約4万4千円が社会保険料として控除され、会社は同じ水準の保険料を別に負担することになります。人件費の見込みを立てる際は、賞与額の15%前後を会社負担の目安として織り込んでおくと安心です(上記の例では45,120円で、賞与額の約15%)。

実際には、折半した金額の端数処理や、40歳以上の方の介護保険料の加算などにより金額が変わります。個別の取扱いは、給与計算ソフトの設定や専門家にご確認ください。

賞与支払届の手順

賞与を支給したら、支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を提出します。社会保険に加入している社員と、70歳以上で引き続き働いている方(70歳以上被用者)に賞与を支給したときが対象です。

手順やること確認ポイント
① 支給額の確定社員ごとの賞与の総支給額(税引き前)を確認する現物給付や、通貨以外の支給がないか
② 標準賞与額の算出1,000円未満を切り捨てる同じ月に2回以上支給したときは合算する
③ 届出書の作成支給年月日・支給額・標準賞与額などを記入する氏名・整理番号・生年月日の誤りがないか
④ 提出電子申請・電子媒体・郵送・窓口のいずれかで提出する提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所

健康保険組合に加入している会社は、組合から送られる届出用紙で届け出ます。この場合、日本年金機構への届出は不要とされています。

賞与を支給しなかった場合

あらかじめ登録している賞与の支払予定月に賞与を支給しなかったときは、「賞与不支給報告書」を提出します。業績不振で冬の賞与を見送るときなども、報告書の提出が必要になる場合があります。

つまずきやすい3つのポイント

① 育児休業中の社員に賞与を支給するとき

育児休業中の賞与についても、標準賞与額は決定されます。そのうえで、賞与にかかる保険料が免除されるのは、賞与を支給した月の末日を含む、連続して1か月を超える育児休業を取得している場合に限られます(2022年10月施行の見直し)。

育児休業が1か月以内の場合は、賞与の保険料は免除されず、通常どおり徴収することになります。育休中の社員がいる場合は、休業期間と賞与の支給月の関係を確認してください。

② 「決算賞与」「寸志」などの名称

賞与の対象になるかどうかは、名称ではなく実質で判断されます。「決算手当」「特別手当」「寸志」といった名称でも、労働の対償として年3回以下の頻度で支給されるものは、賞与として保険料の対象です。

③ 年4回以上の支給になっていないか

夏・冬の賞与に加えて、決算賞与や特別手当を支給すると、年間の支給回数が4回以上になることがあります。その場合は賞与ではなく毎月の報酬と同じ扱いとなり、標準報酬月額の算定に影響します。支給回数が増える場合は、事前に確認しましょう。

賞与支給前後の対応チェックリスト

優先度対応内容時期の目安
最優先給与計算ソフトに、2026年度の料率(子ども・子育て支援金を含む)が設定されているか確認する賞与の計算前
最優先賞与支払届の提出担当者と、提出方法(電子申請など)を決めておく賞与の支給前
高夏の賞与を含む年度累計額を確認し、573万円を超える社員がいないか点検する賞与の計算前
高育児休業中・休業予定の社員の休業期間を確認する賞与の計算前
高賞与支払届を支給日から5日以内に提出する支給後すぐ
中賞与を支給しない場合は、賞与不支給報告書の要否を確認する支給予定月の後
中就業規則・賃金規程の賞与の規定(支給回数・支給対象)を確認する計画的に

よくあるご質問

Q. 賞与を支給しない年は、何も手続きは要りませんか?

A. あらかじめ登録している賞与の支払予定月に支給がなかった場合は、「賞与不支給報告書」の提出が必要になることがあります。登録の状況によって取扱いが異なる場合がありますので、年金事務所または専門家にご確認ください。

Q. 同じ月に賞与を2回支給しました。届出は2回必要ですか?

A. 同じ月に2回以上支給した場合は、合算して届け出ます。厚生年金保険の上限(1か月150万円)も、合算した金額に対して適用されます。

Q. 年4回以上の手当は、賞与支払届が必要ですか?

A. 年4回以上支給されるものは賞与ではなく、毎月の報酬と同じ扱い(標準報酬月額の対象)になるため、賞与支払届の対象にはなりません。ただし、毎年7月2日以降に賞与の規定を新設した場合などは取扱いが異なりますので、個別のケースは専門家にご確認ください。

まとめ

  • 賞与(年3回以下)には健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料がかかり、標準賞与額(1,000円未満切り捨て)に料率を掛けて計算する
  • 2026年4月から子ども・子育て支援金(0.23%、本人負担0.115%)が加わっており、賞与にも反映する
  • 標準賞与額の上限は、健康保険が年度累計573万円、厚生年金保険が1か月150万円
  • 賞与支払届は支給日から5日以内に提出する。支給しなかった月は賞与不支給報告書が必要な場合がある
  • 育休中の賞与は、賞与月の末日を含む1か月超の育児休業の場合に限って保険料が免除される

賞与の社会保険は、「料率の確認」「上限の確認」「5日以内の届出」の3点を押さえるだけでも、ミスの多くを防ぐことができます。冬の賞与の前に、一度ご自社の設定を見直されることをおすすめいたします。

制度の詳細や自社での対応についてご不明な点がございましたら、カインド社労士事務所までお気軽にご相談ください。

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